乾癬(かんせん)

乾癬はカサカサした銀白色の鱗屑を伴った紅斑が生じる慢性の炎症性角化症です。

頭皮・四肢・体幹、特に肘・膝など擦れやすい部位に皮疹が好発します。通常であれば表皮細胞は20日間かけて生まれ変わるところ、乾癬の場合は2日間と細胞周期が1/10に短縮され、その結果カサカサした鱗屑が増えてしまいます。こうした乾癬の皮膚症状の原因は、炎症性のサイトカインが大量に産生されていることによります。

治療は、炎症を抑えるステロイド軟膏の外用、角化を抑える活性型ビタミンD3軟膏の外用が中心です。症状が強い場合は、レチノイドや免疫抑制剤(シクロスポリン)の内服治療を行うこともあります。レチノイドは催奇形性や口唇炎、シクロスポリンでは腎臓に対する副作用に注意が必要です。

乾癬は特異的な皮疹が広範囲に生じることがあり、プール、温泉といった施設の利用を避けるなど、QOLを著しく損ねる患者さんがいます。上記した治療を組み合わせることで、良好な皮膚の状態を維持することができますので、乾癬かな?と思ったら、まず皮膚科専門医を受診してください。

最近では、炎症性サイトカインを産生する細胞に直接作用する生物学的製剤が開発され、乾癬にも適応が拡大されました。今まで難治であった重症型の乾癬にも劇的な効果が確認できています。ただし生物学的製剤を使用できる施設は限られております。詳しくは皮膚科専門医にご相談ください。