アトピー性皮膚炎は、強いかゆみを生じる湿疹です。
顔、首、肘・膝などの関節部分に症状がでます。悪化すると全身に広がることがあります。生まれつき皮膚の表面のバリア機能が低下していることが原因で、アレルギー物質、汗、ほこり、ストレスなどが加わり湿疹が生じてきます。小学生のおよそ10人に1人がアトピー性皮膚炎といわれおり、決して少ない病気ではありません。
治療の中心は、バリア機能を修復するための保湿剤によるスキンケアです。
炎症が強いときは、炎症を抑える目的でステロイド外用剤やタクロリムス軟膏、デルゴシチニブ軟膏、ジファミラスト軟膏、タピナロフクリームの外用を行います。
かゆみに対しては抗アレルギー剤の内服も行います。炎症が落ち着いてきたら、症状に応じてステロイド外用剤の強さを徐々に弱くしたり、外用する日数を減らしたりします。保湿剤の外用だけで良好な状態に保つことができれば理想的ですが、焦らずじっくり治療していき、理想的な皮膚になるよう努力していきましょう。
また、難治性のアトピー性皮膚炎に対しては、IL-4、IL-13、IL-31などを抑える注射薬やJAK阻害薬等の内服も行っております。
追記1
現在のアトピー性皮膚炎の治療は、保湿、ステロイド軟膏、タクロリムス軟膏の外用、抗アレルギー剤の内服が中心で、全世界的にも認められている治療です。「ステロイドホルモンを使わずに治す」等の宣伝にはご注意ください。
追記2
最近の報告で、アトピー性皮膚炎と正常皮膚とでは細菌の分布が異なるということが、動物実験で解明されました。今後の研究成果に期待しましょう。